1985年生 スーパークリーク 牡馬

スーパークリーク完全ガイド|血統・成績・エピソードで辿る生涯

スーパークリーク





スーパークリーク完全ガイド|血統・成績・エピソードで辿る生涯


スーパークリークとは?【競走馬プロフィール】

スーパークリークは、スタミナと粘りで名を刻んだ昭和末〜平成初期のステイヤーです。
1988年の菊花賞でクラシックを制し、翌1989年の天皇賞(秋)、1990年の天皇賞(春)を連覇して王道路線の頂点に立ちました。
長く脚を使う持続加速と、4角からの早め進出で押し切る横綱相撲が持ち味でした。
相手は同時代のオグリキャップイナリワンなど“平成三強”の一角を担う怪物たち。
厳しい相手関係の中でも〈京都長距離+東京2000m〉で高い再現性を示し、世代の基準馬として記憶されています。
鞍上を務めた武豊騎手の“出世馬”としても語り草で、勝ち味の確かさで時代を動かしました。

生年月日 1985年5月27日
性別・毛色 牡・鹿毛
生産 柏台牧場(北海道・門別町)
調教師 伊藤修司(栗東)
馬主 木倉誠
通算成績 16戦8勝
主な勝ち鞍 菊花賞(GI)1988/天皇賞(秋)(GI)1989/天皇賞(春)(GI)1990/産經大阪杯(GII)1990/京都大賞典(GII)1989・1990
受賞
ノーアテンション
ナイスデイ(母父:インターメゾ

目次

血統背景と特徴

父はノーアテンション、母はナイスデイです。
父系は北米のスタミナと持久力に通じる資質を伝え、母系は直進性と底粘りを補強します。
この配合により、長く脚を使う持続力と、直線での惰性の上乗せという勝ち筋が形成されました。
ストライドは大きく、肩の可動域が広いため巡航速度が高いのが特徴です。
一方で回転の立ち上がりも遅くなく、4角で姿勢を保ったままエンジンを掛けられます。
血統的ピークは2400〜3200m帯で、京都外回り・内回りの双方で“我慢→早め進出→押し切り”の教科書を実践しました。

  • 配合メモ①:スタミナの父系×底粘りの母系=ロングスパート適性
  • 配合メモ②:良〜稍重で再現性が高く、道悪でもパワーで前進可能。
  • フォーム特性:回転を上げても上体のブレが少なく、減速幅が小さい

豆知識:同期のオグリキャップ、同世代に近いイナリワンと共に“平成三強”としてファンの記憶に刻まれています。
京都の長丁場で見せる粘着質の末脚は、まさに看板芸でした。

デビュー〜頂点までの道程

3歳(現表記)12月の新馬戦で2着を確保し、続く二戦目で初勝利を挙げました。
明け4歳の春はすみれ賞を勝ってクラシック路線へ名乗りを上げ、秋のトライアルを経て菊花賞を圧勝しました。
年末の有馬記念は失格となりましたが、翌1989年秋の京都大賞典で反撃の口火を切りました。
勢いそのままに天皇賞(秋)を制して東京2000mでも適性を証明し、年末の有馬記念は2着に好走しました。
1990年春は産經大阪杯を先行押し切りで快勝し、天皇賞(春)を制して長距離王の座を盤石にしました。
秋の京都大賞典では重馬場をものともせず勝ち切り、ターフを去るまで王道路線の中心に居続けました。

  • 成長曲線:遅咲きの完成型で、4歳秋〜5歳春が絶対値のピークでした。
  • 臨戦過程:叩きつつ上昇するタイプで、前哨戦を使って巡航速度を底上げして本番に臨むのが理想。

エピソード:長距離での安定感は調教から培われ、長めから入れて終いを伸ばす“ロングスプリント鍛錬”がハマりました。
折り合いは総じてスムーズで、道中で谷を作らない運びが勝ち味に直結しました。

競走成績とレース解説

勝ち筋は、好位〜中団でロスを抑える3〜4角で早めに回転を上げる直線で持続勝負に引き込むという王道設計です。
京都の長距離ではコーナーでの溜めと坂の少なさが相性良く、長い惰性で押し切れます。
東京2000mでも機動力より巡航速度で圧を掛ける競馬が合い、瞬発一点勝負を避けられた時に最大値を発揮しました。
馬場は良〜稍重がベターですが、重馬場でもパワーで進み、減速幅が小さい走りで粘り込みます。

  • 時計面ハイライト:天皇賞(秋)1:59.1(1989・東京2000m)。
    天皇賞(春)3:21.9(1990・京都3200m)。
  • 距離レンジ:2000〜3200m◎。1800m◯。瞬発戦の1600mは割引き。
  • 戦術の肝:中盤で谷を作らないペース設計と、4角手前での早め進出

相手関係の物差しは、同時代のオグリキャップ、同年末に頂点へ立ったイナリワン、道悪でしぶといオサイチジョージ、海外勢を含むジャパンCの強豪陣営ではホーリックスなどです。
総合力の高さで構え負けしないのが強みでした。

名レースBEST5

1位|1990年4月29日 天皇賞(春)(GI)京都芝3200m 良

好位で折り合い、3〜4角で自然に進出。
直線は惰性の上乗せで押し切り、長距離王の座を確立しました。
相手関係も厚く、イナリワンらを抑えての価値ある戴冠でした。

2位|1989年10月29日 天皇賞(秋)(GI)東京芝2000m 良

淀みない流れを好位から進め、ラストは力でねじ伏せました。
瞬発だけでなく巡航の質で勝ち切った教科書的勝利です。
オグリキャップを退けたインパクトは絶大でした。

3位|1988年11月6日 菊花賞(GI)京都芝3000m 良

折り合い良く中団から進出し、直線で抜け出して完勝
長距離適性の高さを世に示した初G1制覇でした。

4位|1990年10月7日 京都大賞典(GII)京都芝2400m 重

道悪でもバテないパワーと底粘りで押し切り。
コンディション不問の普遍値を証明した一戦です。

5位|1990年4月1日 産經大阪杯(GII)阪神芝2000m 稍重

道中から主導権を握ってロングスパート。
春の大目標に向けて盤石の足慣らしとなりました。

同世代・ライバル比較

主要な比較軸はオグリキャップ(総合力と瞬発)、イナリワン(持久戦の破壊力)、ヤエノムテキ(完成度)、オサイチジョージ(道悪の粘り)、ジャパンCのホーリックス(世界基準)です。
2400〜3200mでは底スタミナ+巡航の質で優位に立て、2000mでも“中盤で谷を作らない”設計で主導権を奪えました。

ライバル 強み 対策(SC流) 要点
オグリキャップ 総合力・人気背負っての勝負強さ 早め加速で持続戦化 天皇賞(秋)で完封。
イナリワン ロングスパートの破壊力 中盤を締めて脚比べ 春天で戴冠。
ヤエノムテキ 完成度と立ち回り 巡航で圧を掛ける 京都で優位。
オサイチジョージ 道悪の持久力 早め進出で消耗戦に 阪神2000mで撃破。
ホーリックス 世界級の総合力 4角前で圧を継続 JCは4着健闘。

競走スタイルと得意条件

理想は良〜稍重×平均〜やや締まった流れ×2000〜3200mです。
序盤は好位〜中団でロスなく立ち回り、向正面〜3角で回転を上げながら進出します。
4角で姿勢を保ったまま直線へ入り、トップスピードに乗ってからの惰性の持続で押し切ります。
超スローの瞬発一点勝負は割引きで、持続戦へ引き込めるかが分岐点でした。

  • 向く条件:京都の長距離、ロングスパートを許す展開。
  • 苦手傾向:極端なヨーイドン、内で進路をなくす展開。
  • 実戦Tips:中盤で緩めず、直線入口で位置×勢いを同時に確保。

引退後とレガシー

引退後は種牡馬として供用され、日本の中長距離路線にスタミナの血を伝えました。
のちに功労馬として穏やかな余生を送り、2010年に老衰で25歳で亡くなりました。
現役時代はオグリキャップイナリワンと並び称され、タフな時代の王道路線を高い再現性で歩みました。
早め進出→直線持続”という勝ち筋は、長距離戦の理想形として今なお議論の基準点になっています。

  • 配合の示唆:スタミナ・底粘りの補強に向き、持続戦向きの中距離牝馬とも相性を作りやすい設計。
  • レガシー:京都の長距離での教科書的勝ち方と、東京2000mでの総合力勝負を両立した稀有な“二刀流”。

成績表

日付 開催 レース名 着順 騎手 距離 馬場 タイム 備考
1987/12/05 5阪神1 3歳新馬 2 田原成貴 芝2000 2:03.1 初陣は内容濃い2着。
1987/12/26 5阪神7 3歳新馬 1 田原成貴 芝2000 2:03.7 2戦目で初勝利。
1988/01/05 1京都1 福寿草特別(400万下) 4 田原成貴 芝2000 2:06.5 賞金加算ならずも前進。
1988/02/14 2京都6 きさらぎ賞(GIII) 3 南井克巳 芝2000 2:04.5 内容濃い重賞初掲示板。
1988/03/19 1阪神7 すみれ賞(OP) 1 武豊 芝2200 2:18.8 ロングスパートで押し切り。
1988/09/25 4阪神6 神戸新聞杯(GII) 3 武豊 芝2000 2:05.5 秋緒戦で存在感。
1988/10/16 4京都4 京都新聞杯(GII) 6 武豊 芝2200 2:15.6 敗戦から学習。
1988/11/06 5京都2 菊花賞(GI) 1 武豊 芝3000 3:07.3 クラシック制覇。
1988/12/25 2中山8 有馬記念(GI) 武豊 芝2500 2:34.1 進路妨害で失格。
1989/10/08 4京都2 京都大賞典(GII) 1 武豊 芝2400 2:25.0 秋緒戦を快勝。
1989/10/29 4東京8 天皇賞(秋)(GI) 1 武豊 芝2000 1:59.1 総合力で古馬頂点。
1989/11/26 5東京8 ジャパンC(GI) 4 武豊 芝2400 2:22.7 世界相手に健闘。
1989/12/24 5中山8 有馬記念(GI) 2 武豊 芝2500 2:31.7 グランプリ惜敗。
1990/04/01 3阪神4 産經大阪杯(GII) 1 武豊 芝2000 2:02.9 先行押し切り。
1990/04/29 2京都4 天皇賞(春)(GI) 1 武豊 芝3200 3:21.9 長距離王へ。
1990/10/07 3京都2 京都大賞典(GII) 1 武豊 芝2400 2:26.9 道悪でも完勝。

まとめ

スーパークリークは、京都の長距離×東京2000mで“王道の強さ”を体現したステイヤーです。
菊花賞、天皇賞(秋)・(春)という王道路線の金看板を制し、長く脚を使う持続力で時代を動かしました。
早め進出→直線持続”という勝ち筋は、今なお中長距離戦の理想解として語り継がれています。
名馬群雄割拠の時代においても、再現性と総合力で確固たる地位を築いた名馬でした。


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