1992年生まれ 牡馬

ヒシアケボノ完全ガイド|血統・成績・エピソードで辿る生涯

ヒシアケボノ






ヒシアケボノ完全ガイド|血統・成績・エピソードで辿る生涯






ヒシアケボノとは?【競走馬プロフィール】

ヒシアケボノは米国生まれの快速スプリンターで、日本短距離路線の頂点を極めた大型馬です。

1995年スプリンターズS(G1)制覇で名を刻み、当時のJRA短距離王として評価されました。

体重が560kgを超える雄大なフレームながら、先行力とトップスピードの持続で押し切るのが持ち味でした。

父はWoodman、母Mysteries、母父Seattle Slewという名門配合で、半弟に欧州G1を制したアグネスワールドがいます。

生年月日 1992/02/27
性別・毛色 牡/黒鹿毛
生産 Swettenham Stud, et al./米国
調教師 佐山優/栗東
馬主 阿部雅一郎
通算成績 中央29戦6勝/地方1戦0勝(合計30戦6勝)
主な勝ち鞍 スプリンターズS(G1)/スワンS(G2)
Woodman
Mysteries(母父:Seattle Slew




目次

ヒシアケボノの血統背景と特徴

父はミスタープロスペクター系の名種牡馬Woodmanで、母Mysteriesは米国の名牝系に連なる良血です。

母父Seattle Slew由来のスピードと胴伸びのある体型が合わさり、短距離での巡航速度と先行力に優れました。

半弟に欧州短距離G1を制したアグネスワールドがいることからも、牝系の短距離指向は明確です。

大型馬ながら関節の可動域が広くストライドが伸び、直線でも失速しにくいのが最大の武器でした。

配合面では米国型スピードの凝縮が特徴で、瞬時の加速よりもトップスピード到達後の持続で真価を示します。

ヒシアケボノの父馬・母馬の戦績と特徴

WoodmanMr. Prospector直仔の名種牡馬で、前進気勢と完成の早さを伝える血として知られます。

MysteriesSeattle Slewの娘で、柔らかな背中と粘り強いスピードを受け継ぎました。

この配合により、胴伸びのある体型と強靱な心肺機能が合致し、先行押し切りの完成度が高まりました。

半弟のアグネスワールドが示すように、牝系自体が高い短距離資質を内包しています。

成長力の軸足は筋量の増加と骨量の豊富さで、追走段階からのロスが少ないフォームを支えました。

本馬の長所はスピード持続性能と頑強さの両立で、道中の息の入りに左右されにくい点にあります。

ヒシアケボノの血統から見る適性距離と馬場

適性距離は芝1200〜1400mが基軸で、ワンターンの平坦〜緩い起伏でより力を発揮します。

加速は一気型ではなく、道中でスピードを上げ続けて直線まで維持するタイプです。

良馬場での最高到達速度が高く、時計勝負にも対応できるのが強みでした。

一方で急坂や持続的なラップアップにも耐性があり、先行しての渋太さが際立ちます。

総じて高速馬場×先行押し切りで最大効率を示し、内外バイアスよりペースの質に左右される傾向でした。




ヒシアケボノのデビューまでの歩み

米国で育成を受け、日本で本格調教に入ると体格の割に身のこなしが軽く、早期から素質を示しました。

育成段階では前捌きの大きさと推進力が際立ち、ハミ受けの改善で行きっぷりがさらに良化しました。

当初はダート短距離から適性探索を行い、芝替わりで一気に軌道に乗った経緯があります。

大型馬ゆえに輸送と暑さへのケアを徹底し、体重維持とコンディション管理を最優先にしました。

総じて芝スプリント適性の顕在化が転機となり、以後は短距離路線で飛躍しました。

ヒシアケボノの幼少期から育成牧場での様子

放牧期から良好な食欲と強い筋量増加を見せ、歩様は大股で柔らかく力感に富みました。

キャンターでは自然に速度を上げられ、追ってからのフォーム崩れが少ないタイプでした。

坂路とウッドの併用で心肺を鍛え、長めから終い重点の調整で持続ラップ耐性を養いました。

馬格の割に関節可動が滑らかで、右回り左回りの切替も速くバランスに優れました。

育成段階の評価は一貫して高く、完成度の早さとタフネスが両立していた点が特筆されます。

ヒシアケボノの調教師との出会いとデビュー前の評価

佐山厩舎では基礎体力の充実を優先し、負荷量を段階的に上げていく設計で作られました。

追い切りでは長めからラストまで手応え良く伸び、併走で前に出る勝負根性を示しました。

調教助手の評価は「重心が低く、息の入りが速い」点で一致し、レースでの粘り込みを後押ししました。

ゲートの反応も良好で、出脚の速さが先行策の軸になりました。

総合的にスピード持続型の完成度が高く、芝スプリントでの成功が強く見込まれていました。




ヒシアケボノの競走成績とレース内容の詳細

デビュー当初はダートで基礎固めを行い、芝替わりで連勝して一気に重賞戦線へ進出しました。

1995年のスプリント路線では小倉の特別連勝から重賞制覇まで駆け上がり、秋に頂点へ到達しました。

翌年はマイルG1でも善戦し、短距離〜マイルで高いパフォーマンスを示しました。

その後は強豪との激戦が続き、体調や展開の影響も受けて着順に幅が生じました。

総体として先行押し切りの再現性が高く、隊列が流れるほど能力を出しやすいタイプでした。

ヒシアケボノの新馬戦での走りとその後の成長

東京の芝1600mでデビューし、当初からスピードの片鱗を見せて先行粘り込みました。

その後はダート短距離でレース慣れを図り、芝1200m転戦で一変して連勝モードに入りました。

小倉で特別を連勝し、時計面でも優秀なラップを刻んだ点が評価を押し上げました。

京王杯オータムHでの重賞3着が飛躍の合図となり、以降のローテが一段と明確になりました。

総じて経験値の積み上げで完成度が加速し、短距離王道路線へ踏み込む基盤が整いました。

ヒシアケボノの主要重賞での戦績と印象的な勝利

1995年のスワンS(G2)は外から悠々と先行し、直線でも脚勢が鈍らずレコードで押し切りました。

スプリンターズS(G1)では番手から進め、直線で抜け出して強豪ビコーペガサスらを完封しました。

翌1996年はフラワーパークらとしのぎを削り、高松宮杯と安田記念で共に3着と健闘しました。

強豪ひしめく短距離路線で、地力の高さを示し続けた点が際立ちます。

勝因は先行力と持続力の融合にあり、ペース適応力の高さも勝ち星を支えました。

ヒシアケボノの敗戦から学んだ課題と改善点

展開が極端に緩むと瞬時の加速で見劣り、差し馬の決め手に屈するケースがありました。

また外枠からの被されやすい形では、序盤でロスを被ると末脚の持続が鈍る局面も出ました。

距離延長のマイルではトップスピード維持に負荷がかかり、終いの甘さが課題となりました。

対策として隊列が流れる形へ持ち込み、道中で脚を使い続ける運びを徹底しました。

総括すると展開・枠・位置取りの最適化がテーマで、先行安定の戦術がもっとも効果的でした。




ヒシアケボノの名レースBEST5

ヒシアケボノの名レース第5位:マイルチャンピオンシップ(G1)

1995年の一戦は先行から渋太く粘り、強豪トロットサンダーに0.2秒差の3着と大健闘でした。

序盤から好位を確保し、コーナーでも手応え良く進出して直線でしぶとさを発揮しました。

ラップは道中締まり気味で、マイル上限でもスピード持続が通用することを証明しました。

勝ち馬との適性差はあるものの、ペースが流れたことで本馬の長所が最大化されました。

内容面で通用スピードの確認ができ、翌年のローテ構築にも好影響を与えました。

ヒシアケボノの名レース第4位:高松宮杯(G1)

1996年はフラワーパークら強豪相手に先行粘り込みの3着でした。

内めから機動良く位置を取り、直線も最後まで脚勢を落とさずにゴールしました。

ペースは前傾で消耗戦の色合いが強く、本馬のタフさが活きる舞台設定でした。

外差しが伸びる流れの中で粘り切った点は評価が高く、地力の裏付けとなりました。

総括として持続ラップ耐性が再確認できた一戦でした。

ヒシアケボノの名レース第3位:安田記念(G1)

1996年は先行からロスの少ない運びで3着確保。

勝ち馬トロットサンダー、2着ジェニュイン相手に健闘し、マイル戦でも上位互換の走りを示しました。

直線での踏ん張りに伸びが加わり、ゴールまで集中力が持続しました。

コーナーの通過もスムーズで、ペース変化に対する対応力が光りました。

ここでも先行持続の再現性が際立ちました。

ヒシアケボノの名レース第2位:スワンステークス(G2)

1995年は外枠からすんなり先行し、直線で堂々と抜け出してレコード勝ちを収めました。

道中のラップは締まりつつも均質で、スピードのロスが最小に抑えられました。

逃げ馬を見る形で運べたことが勝因で、直線の伸びは圧巻でした。

同世代の強豪を相手に、スプリント〜1400mでの適性の高さを示しました。

レベルの高い重賞で地力の裏付けを明確にした価値ある勝利でした。

ヒシアケボノの名レース第1位:スプリンターズステークス(G1)

1995年の大一番は先行策から直線で力強く抜け出し、堂々のG1タイトルを獲得しました。

当日の馬体は560kgで、雄大な体躯でも機動力と持続力を兼備していることを証明しました。

直線の伸びは迫力に満ち、後続の強豪ビコーペガサスを完封しました。

好位確保からの押し切りという必勝パターンが完璧にハマり、内容も上々でした。

結論として短距離王者の完成形を示した生涯ベストの一戦でした。




ヒシアケボノの同世代・ライバルとの比較

同期・近接世代にはビコーペガサス、短距離女王フラワーパーク、さらには後年の怪物タイキシャトルが並びます。

いずれも末脚の破壊力が高い相手で、本馬は先行して早めに加速域へ入る戦術で対抗しました。

持続ラップ下での粘り込みに強みがあり、展開が流れるほど相対的に優位に立てました。

反対に瞬発力勝負では分が悪く、直線のギアチェンジで差を詰められるケースがありました。

結論として展開適性の差を見極めることが勝敗の鍵でした。

ヒシアケボノの世代トップクラスとの直接対決

マイルではトロットサンダー、スプリントではフラワーパーク、翌年以降はタイキシャトルら強豪と激突しました。

道中で脚を使い続ける展開で好走が多く、位置取りの主導権を握れるかがポイントでした。

阪神の1400mなどコーナーの小回りでは先行の利が働き、粘り込みが目立ちました。

直線の長い東京マイルではスピードの持続で対抗し、善戦を重ねました。

総じて主導権確保が勝負の分岐点でした。

ヒシアケボノのライバルが競走成績に与えた影響

上位級の先行勢と当たるとラップが引き上がり、本馬の得意形に寄ることがありました。

一方で末脚自慢の差し勢が多いと、直線の伸び勝負で分が悪くなる傾向がありました。

そのため枠順とペース見立てが成否を分け、ローテーション策定にも影響しました。

高いレベルの相手と競る中で経験値を増し、戦術の熟度が高まりました。

結果として対戦相手の質がパフォーマンスの振れ幅を生んだと言えます。




ヒシアケボノの競走スタイルと得意条件

スタートから出脚が速く、道中でスピードを上げ続ける先行持続型です。

良馬場の高速決着に強く、馬群を苦にしない体幹の強さが武器でした。

ワンターンの芝1200〜1400mで好走が多く、平坦や緩い起伏を苦にしません。

一方でスローからの瞬発力勝負は不得手で、早めに加速域へ入れるのが理想でした。

要するに速い流れの先行策が最大値を引き出す鍵でした。

ヒシアケボノのレース展開でのポジション取り

ゲート反応を活かして先行圏を確保し、コーナーまでに位置を決め切るのが基本でした。

3〜4コーナーで隊列が流れるほど持続性能が活き、直線入口で先頭圏に取り付きます。

並びかけられても体幹の強さで長く脚を使え、最後まで脚勢が鈍りません。

逆に溜める競馬ではギアチェンジで見劣るため、主導権を握る意識が重要でした。

結論として位置取りの主導がもっとも効く勝ちパターンでした。

ヒシアケボノの得意な距離・馬場・季節傾向

ベストは芝1200m、次点で芝1400m。

馬場は良〜やや重でのパフォーマンスが安定し、極端な道悪では減点が必要でした。

気温の高い時期でも体重を維持できる管理が施され、夏の小倉シリーズで連勝しました。

直線の長短よりもペースの質に依存し、流れたほうが信頼度は上がります。

総括すると芝短距離×先行が最適解でした。




ヒシアケボノの引退後の活動と功績

引退後は種牡馬となり、国内で幅広い牝馬に種付けして産駒を送り出しました。

JRAでの産駒通算勝利は多くはないものの、短距離での先行力を伝えるタイプが散見されました。

代表的な勝ち上がりにヒシアスカセトノアケボノセトノグリーンなどがいます。

大物輩出こそ叶いませんでしたが、牝系次第でスピード指向の資質を示す例がありました。

総合的には短距離資質の遺伝という役割を果たした種牡馬と評価できます。

ヒシアケボノの種牡馬・繁殖牝馬としての実績

産駒は完成が早く、短距離の平場で先行力を武器に押し切るタイプが目立ちました。

短い区間でのトップスピード到達が速く、先行作戦との親和性が高い傾向でした。

繁殖牝馬としての娘も一定数が繁殖入りし、スピード系の血を広げました。

重賞級の活躍馬は出ませんでしたが、ローカル開催で堅実に稼ぐ産駒が多かった印象です。

位置取りが鍵となる現代競馬において、先行性能の継承は価値がありました。

ヒシアケボノの産駒の活躍と後世への影響

地方を含めて短距離での勝ち上がりが散見され、育成難度の低さが評価されました。

競走寿命の長い産駒もおり、タフさという点でも一定の評価を得ました。

血統表における米国型スピードのアクセントとして、配合の幅を与えました。

一線級輩出には至らなかったものの、存在意義は明確でした。

結局のところ短距離スピードの供給源として血脈を残したと言えます。




ヒシアケボノのよくある質問(FAQ)

Q.主な勝ち鞍は?

A.スプリンターズS(G1)とスワンS(G2)です。

いずれも先行しての押し切りが決まり、短距離王者にふさわしい内容でした。

レコード勝ちを含む重賞実績が評価の決め手になりました。

Q.ベストの適性距離は?

A.芝1200〜1400mが最適ゾーンです。

良馬場の高速決着に強く、道中から脚を使い続ける先行型です。

総じて先行持続型として能力を最大化します。

Q.代表的なライバルは?

A.ビコーペガサスフラワーパークトロットサンダー、後年にはタイキシャトルと激戦を交えました。

展開によって優劣が分かれ、主導権を握れたときに力を最大限に出せました。

対戦史の文脈でも先行優位の流れで好結果が多かったといえます。




ヒシアケボノの成績表

日付 開催 レース名 人気 着順 騎手 距離 馬場 タイム
1994/11/05 東京 サラ系3才 新馬 2 4 田中勝春 芝1600m 1:36.8
1994/11/20 東京 サラ系3才 新馬 2 2 田中勝春 芝1600m 1:35.5
1995/05/20 東京 サラ系4才 未勝利 1 3 田中勝春 ダ1200m 1:13.6
1995/06/03 京都 サラ系4才 未勝利 1 4 田中勝春 ダ1200m 1:13.0
1995/06/18 中京 サラ系4才 未勝利 1 5 武豊 ダ1700m 1:49.9
1995/07/08 中京 サラ系4才 未勝利 1 1 河内洋 芝1200m 1:09.5
1995/07/22 小倉 筑紫特別(500万下) 1 1 河内洋 芝1200m 1:08.6
1995/08/06 小倉 有明特別(900万下) 1 1 角田晃一 芝1200m 1:09.1
1995/08/20 小倉 やまなみS(1500万下) 2 1 角田晃一 芝1200m 1:09.0
1995/09/10 中山 京王杯オータムH(G3) 2 3 河内洋 芝1600m 1:32.7
1995/09/27 大井 東京盃 1 6 河内洋 ダ1200m 1:12.9
1995/10/28 京都 スワンS(G2) 4 1 角田晃一 芝1400m 1:19.8
1995/11/19 京都 マイルChS(G1) 2 3 角田晃一 芝1600m 1:33.9
1995/12/17 中山 スプリンターズS(G1) 1 1 角田晃一 芝1200m 1:08.1
1996/04/28 京都 シルクロードS(G3) 1 3 角田晃一 芝1200m 1:07.9
1996/05/19 中京 高松宮杯(G1) 1 3 角田晃一 芝1200m 1:08.0
1996/06/09 東京 安田記念(G1) 12 3 角田晃一 芝1600m 1:33.2
1996/10/26 京都 スワンS(G2) 3 11 角田晃一 芝1400m 1:20.1
1996/11/17 京都 マイルChS(G1) 4 15 角田晃一 芝1600m 1:35.7
1996/12/15 中山 スプリンターズS(G1) 4 2 角田晃一 芝1200m 1:09.7
1997/01/12 京都 洛陽S(OP) 3 8 角田晃一 芝1600m 1:35.4
1997/04/20 京都 シルクロードS(G3) 2 15 河内洋 芝1200m 1:09.0
1997/05/18 中京 高松宮杯(G1) 8 14 角田晃一 芝1200m 1:09.5
1997/06/08 東京 安田記念(G1) 13 8 角田晃一 芝1600m 1:34.6
1997/06/15 福島 バーデンバーデンC(OP) 1 5 角田晃一 芝1200m 1:07.8
1997/09/28 阪神 セントウルS(G3) 1 13 角田晃一 芝1400m 1:22.2
1997/10/25 京都 スワンS(G2) 10 11 角田晃一 芝1400m 1:22.2
1997/11/16 京都 マイルChS(G1) 16 14 角田晃一 芝1600m 1:35.9
1997/11/22 中京 CBC賞(G2) 7 7 角田晃一 芝1200m 1:09.5
1997/12/14 中山 スプリンターズS(G1) 10 9 中舘英二 芝1200m 1:09.4





ヒシアケボノのまとめ

ヒシアケボノは米国型スピードの凝縮と巨大な馬格を両立し、日本短距離路線で確固たる地位を築きました。

小倉からの快進撃で重賞を制し、秋にはスプリントG1を勝ち切る完成度を示しました。

先行力と持続ラップ耐性を武器に、マイルでも善戦する適応力を併せ持ちました。

引退後は種牡馬として幅広い牝系にスピードを供給し、短距離資質の継承に貢献しました。

総じて先行持続型スプリンターの完成形として、今なお語り継がれる存在です。


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