ファインモーションとは?【競走馬プロフィール】
ファインモーションは、2002年の秋華賞・エリザベス女王杯を無敗で連勝し、同年のJRA賞最優秀3歳牝馬に選出された外国産の名牝です。
デビューから6連勝の勢いで牝馬路線を席巻し、その後も阪神牝馬Sや札幌記念を制して中距離で存在感を示しました。
父Danehill、母Cocotte(母父Troy)の欧州名門配合により、直線でのトップスピード持続とコーナーでの機動力を兼備しました。
通算成績は15戦8勝、総賞金は49451.8万円です。
生年月日 | 1999/01/27 |
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性別・毛色 | 牝・鹿毛 |
生産 | Barronstown Stud and Orpendale(愛国) |
調教師 | 伊藤雄二/栗東 |
馬主 | 伏木田達男 |
通算成績 | 15戦8勝/総賞金49451.8万円 |
主な勝ち鞍 | 秋華賞(G1・2002)/エリザベス女王杯(G1・2002)/札幌記念(G2・2004)/阪神牝馬S(G2・2003)/ローズS(G2・2002) |
父 | Danehill |
母 | Cocotte(母父:Troy) |
目次
ファインモーションの血統背景と特徴
ファインモーションは、父Danehill×母Cocotte(父Troy)の名門欧州血統です。
父系Danzigのスピードにより高い巡航性能と先行・差し双方への対応力を獲得し、母系からはコーナーでの立ち回りと底力が供給されました。
その結果、道中でラップが上がってもストライドを保ったまま持続加速に移行できるのが最大の武器でした。
全体として瞬発と持久のバランスが良く、日本の中距離戦でも高い再現性を示しました。
ファインモーションの父馬・母馬の戦績と特徴
父Danehillは欧州・豪州で大成功した世界的名種牡馬で、スピードの持続と完成の早さを産駒に色濃く伝えます。
母CocotteはG1馬ピルサドスキーを輩出した名牝系の出身で、長く脚を使う適性と体幹の強さを伝える牝系です。
ファインモーションは両系統の長所が融合し、直線での速度維持とコーナー機動力を併せ持つ万能型として完成しました。
ファインモーションの血統から見る適性距離と馬場
ベストは芝1800m〜2200mで、とりわけ2000m前後で安定感が高いタイプです。
平均〜速い流れで真価を発揮し、直線入口からのロングスパートで押し切る形が理想でした。
馬場は良がベターですが、稍重でも大崩れは少なく、展開に左右されにくい走りが特徴でした。
ファインモーションのデビューまでの歩み
アイルランド生産の外国産馬として日本へ輸入され、入厩当初から身のこなしの柔らかさと心肺機能の高さが目立ちました。
基礎期はロングキャンターとコース追いを中心に土台を築き、テンに行きたがる面を抑えるメニューで折り合いを磨きました。
2歳暮れの新馬勝ちから約8か月の成長期間を経て、3歳夏に復帰後は条件→特別→トライアル→G1を4連勝で駆け上がりました。
ファインモーションの幼少期から育成牧場での様子
放牧地では重心が低く、四肢の連動がスムーズなキャンターを見せました。
坂路では終いでの再加速が利き、ピッチを上げてもストライドが潰れない持続伸長が目立ちました。
オンオフの切り替えを覚えるにつれて気性面が安定し、競馬での操縦性が高まりました。
ファインモーションの調教師との出会いとデビュー前の評価
伊藤雄二厩舎では、週中は持久的メニュー、週末は終い重点で瞬発力を引き出す二段構えを採用しました。
跨ったジョッキーは直線での加速持続と体幹の強さを高く評価し、3歳秋に向けて完成度が一気に高まりました。
ファインモーションの競走成績とレース内容の詳細
2002年は条件戦からローズSを快勝し、秋華賞では1:58.1で後続を完封、続くエリザベス女王杯も圧勝してG1連覇を達成しました。
翌2003年は毎日王冠で厳しい流れを経験しつつ、マイルCS2着・阪神牝馬S制覇でトップクラスの地力を証明。
2004年は安田記念後に距離を2000mへ戻し、札幌記念を2:00.4で差し切って復活Vを飾りました。
総じて平均以上の流れを歓迎し、直線での速度維持と持続力が勝ち筋でした。
ファインモーションの新馬戦での走りとその後の成長
2歳阪神の芝2000m新馬を余力残しで快勝。
3歳夏の復帰後は距離延長や展開の幅に対応しながら経験値を積み、秋のG1戦線で完成度が一気に高まりました。
ファインモーションの主要重賞での戦績と印象的な勝利
秋華賞は中団外から長く脚を使い1:58.1で完勝。
エリザベス女王杯は直線で抜け出し2:13.2で戴冠、シーズン6戦5勝の圧巻内容でした。
再度のピークとなった2004年札幌記念は道中タメてのロングスパートで差し切り、復調を示しました。
ファインモーションの敗戦から学んだ課題と改善点
毎日王冠や安田記念など高速決着のマイル戦では序盤の力みが影響し、末の甘さが出ました。
以後は中距離に軸足を戻し、道中で呼吸を整える運びと直線入口までエネルギーを温存する戦術に微修正。
結果として勝ち負けの再現性が改善し、札幌記念での復活に繋がりました。
ファインモーションの名レースBEST5
ファインモーションの名レース第5位:阪神牝馬S(2003)
阪神芝1600mを1:33.4。
道中は折り合いに専念し、直線で外へ持ち出すと加速持続で押し切りました。
ファインモーションの名レース第4位:ローズS(2002)
阪神芝2000mを2:00.1。
トライアルで余力のまま抜け出し、本番へ向けての完成度の高さを示しました。
ファインモーションの名レース第3位:札幌記念(2004)
札幌芝2000mを2:00.4。
後方待機から長く脚を使って差し切り、完全復活を印象づけました。
ファインモーションの名レース第2位:エリザベス女王杯(2002)
京都芝2200mを2:13.2。
外め先行から直線で早め先頭に立ち、押し切りの王道競馬でG1連覇を達成しました。
ファインモーションの名レース第1位:秋華賞(2002)
京都芝2000mを1:58.1。
中団外からロングスパートで後続を完封し、世代の頂点に立ちました。
ファインモーションの同世代・ライバルとの比較
同時期の古馬・同世代にはシンボリクリスエスやテイエムオーシャン、バランスオブゲームらが並ぶハイレベル時代でした。
ファインモーションは高速決着で失速しにくい巡航速度と持続力により、牝馬路線のみならず混合戦でも強豪相手に存在感を示しました。
ファインモーションの世代トップクラスとの直接対決
有馬記念ではシンボリクリスエス相手に5着と健闘。
毎日王冠ではバランスオブゲームの早仕掛けに屈したものの、マイルCSではクラス最上位の2着と地力を証明しました。
ファインモーションのライバルが競走成績に与えた影響
強豪との対戦を通じて中盤のタメと仕掛けどころが洗練。
結果としてハイレベル戦での安定性が高まり、復活の札幌記念に結実しました。
ファインモーションの競走スタイルと得意条件
理想は中団〜好位で折り合い、3〜4角で自然に速度を乗せて直線でロングスパートを継続する形です。
平均〜速い流れを歓迎し、マイルよりは2000m前後での安定感が高いタイプでした。
持久戦での強さが際立ち、長く脚を使う勝ち筋が明確でした。
ファインモーションのレース展開でのポジション取り
序盤は二完歩で位置を確保し、道中は呼吸を整えて巡航。
直線入口で外へ持ち出し、加速持続で押し切るのがもっとも再現性の高い形でした。
ファインモーションの得意な距離・馬場・季節傾向
距離は1800m〜2200mがベストで、2000mが最も堅実。
馬場は良がベターながら、稍重程度ならパフォーマンスを崩しにくい適応性を示しました。
夏〜秋シーズンにピークを作りやすく、秋の牝馬G1で頂点に立ちました。
ファインモーションの引退後の活動と功績
引退後は繁殖牝馬として繋養されましたが、当初から産駒に恵まれず、重賞勝ち馬は出ていません。
近年は伏木田牧場で余生を送り、見学情報がメディアで紹介されるなど今も高い人気を保っています。
母系には名馬を多く出す血脈が流れており、牝系の価値は引き続き注目されています。
ファインモーションの種牡馬・繁殖牝馬としての実績
直仔の重賞制覇はありませんが、繁殖としては健康状態を最優先に取り組まれました。
配合面ではスピード源を補うことで直線の持続伸長を引き出しやすい素地が語られてきました。
ファインモーションの産駒の活躍と後世への影響
産駒実績は限定的ながら、牝系の評価は高く、今後も親族ラインでの台頭が期待されます。
現役時に示した速度維持と機動力は、牝系の資質として後世に残る可能性があります。
ファインモーションのよくある質問(FAQ)
Q.主な勝ち鞍は?
A.秋華賞(2002)、エリザベス女王杯(2002)、札幌記念(2004)、阪神牝馬S(2003)、ローズS(2002)です。
Q.ベストの適性距離は?
A.芝2000m前後が最も安定し、1800m〜2200mで高水準です。
平均〜速い流れで持続力が活きます。
Q.代表的なライバルは?
A.シンボリクリスエス、バランスオブゲーム、オースミハルカなどです。
混合戦でも条件次第で好勝負を演じました。
ファインモーションの成績表
日付 | 開催 | レース名 | 人気 | 着順 | 騎手 | 距離 | 馬場 | タイム |
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2001/12/01 | 阪神 | 2歳新馬 | 1 | 1 | 武豊 | 芝2000m | 良 | 2:03.4 |
2002/08/04 | 函館 | 3歳上500万下 | 1 | 1 | 松永幹夫 | 芝2000m | 良 | 2:03.9 |
2002/08/25 | 札幌 | 阿寒湖特別(1000万下) | 1 | 1 | 松永幹夫 | 芝2600m | 良 | 2:42.4 |
2002/09/15 | 阪神 | ローズS(G2) | 1 | 1 | 松永幹夫 | 芝2000m | 良 | 2:00.1 |
2002/10/13 | 京都 | 秋華賞(G1) | 1 | 1 | 武豊 | 芝2000m | 良 | 1:58.1 |
2002/11/10 | 京都 | エリザベス女王杯(G1) | 1 | 1 | 武豊 | 芝2200m | 良 | 2:13.2 |
2002/12/22 | 中山 | 有馬記念(G1) | 1 | 5 | 武豊 | 芝2500m | 稍重 | 2:33.4 |
2003/08/17 | 札幌 | クイーンS(G3) | 1 | 2 | 武豊 | 芝1800m | 良 | 1:47.7 |
2003/10/12 | 東京 | 毎日王冠(G2) | 1 | 7 | 武豊 | 芝1800m | 稍重 | 1:46.4 |
2003/11/23 | 京都 | マイルチャンピオンシップ(G1) | 2 | 2 | 武豊 | 芝1600m | 良 | 1:33.4 |
2003/12/21 | 阪神 | 阪神牝馬S(G2) | 1 | 1 | 武豊 | 芝1600m | 良 | 1:33.4 |
2004/06/06 | 東京 | 安田記念(G1) | 3 | 13 | 武豊 | 芝1600m | 稍重 | 1:34.0 |
2004/07/25 | 函館 | 函館記念(G3) | 1 | 2 | 武豊 | 芝2000m | 良 | 2:00.7 |
2004/08/22 | 札幌 | 札幌記念(G2) | 1 | 1 | 武豊 | 芝2000m | 良 | 2:00.4 |
2004/11/21 | 京都 | マイルチャンピオンシップ(G1) | 2 | 9 | 武豊 | 芝1600m | 良 | 1:34.1 |
ファインモーションのまとめ
ファインモーションは、欧州良血の資質を日本の中距離戦で高次元に具現化し、3歳秋にはG1連覇で世代の頂点に立った名牝です。
平均以上の流れで巡航速度を落とさず、直線でのロングスパートで押し切る戦術が勝ち筋でした。
繁殖面では産駒に恵まれなかったものの、牝系の価値と人気は衰えず、今なお多くのファンに愛されています。